ビットコインキャッシュを選んだ理由と、ビットコインを選ばなかった理由。

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先日、弊社で運営するワイン通販サービス「カーヴ the Select」にて、ビットコインキャッシュ(BCH)決済を開始しました。

 

●プレスリリース
ワイン通販サイト“カーヴ the Select”にて 「ビットコインキャッシュ」決済を開始

 

反響が大きく、また実際にビットコインキャッシュでご購入を頂く方も想定を超えており、とても嬉しく思います。

 

また、ビットコインキャッシュの場合、10%割引するというのもご好評頂けたようです。

一方で、「どうしてビットコイン(BTC)を選ばなかったのか」
また、「ビットコインと両方やればいいのではないか」といったご質問を頂くこともありました。

 

もちろん、ビットコインキャッシュを選んだ理由は短くまとめると、結論的な理由はシンプルです。
それは、

 

・送金スピードが速いこと
・手数料が安いこと

 

端的には、本当にこれだけかもしれません。

ただ、実際にはもっと慎重に検討しておりましたので、せっかくの機会ですので、弊サービスがビットコインキャッシュを選んだ理由について、参考までにお話ができればと思います。

 

送金詰まりと、送金手数料の高騰

 

当然ながら、選択肢の最初に検討していたのは、ビットコインでした。
ニュースなどでも頻繁に報道されて世の中に広く認知されており、国内でも実際に大手電機店などでも導入されています。

通貨とは、世間に浸透すればするほど利便性が高まり、価値が高まるものです。
この点で、ビットコインを最初の選択肢に考えるのは当然のことでした。

 

しかし、急激な普及と相場の乱高下から、ビットコインの送金詰まりの問題は深刻だと感じました。
最近では多いときでは20万件以上、今でも常時約15万件近くの送金詰まりが発生するようになっています。

 

ビットコインの送金は、手数料が高く設定されたものから優先的に送金されるという仕組み。
手数料を設定しない人は、1日経っても反映しないという声も見受けられました。
このような状況の中、早く送金したい人が高い手数料を設定するようになり、手数料の高騰が起きています。

「送金スピード」と「手数料」の問題は、決済手段として致命的ではないかと感じたことが、ビットコインに疑念を頂いた最初の理由です。

 

ビットコインの出発点は少額決済

 

ここで、立ち返りたいのが、そもそものビットコインの理念です。
そこで、サトシ・ナカモト氏の論文からビットコインの原点を探りにいきました。

論文は、現状のオンライン決済の問題を突くところから始まります。

 

それは、既存のオンライン決済には「第三者の信用」が必要であること。
そして、その「第三者の信用」を経由する時点でそこにコストがかかり、少額決済の可能性を縛っているということです。

この課題に対し、ブロックチェーン技術を用いて第三者の信用を必要としない「トラストレス」を実現した通貨が、ビットコインなのです。

つまり、ビットコインの価値の出発点は、送金コストを抑えることで少額決済の可能性を広げることでした。

 

しかし、多くの消費者が使用している各取引所では、送金手数料が0.0005btc前後で固定されていることが多いです。
今の相場(執筆時点)である220万円の0.0005btcは、即ち1,000円以上。

これでは、現状のクレジットカード決済よりも、むしろ割高です。
低い価格帯のワインなら、一本変えてしまう価格です。

 

単純に、それならクレジットカード決済をすれば良い話で、わざわざビットコインを使う理由がありません。

少額決済を最適化するために生まれてきたはずのビットコインですが、これでは本末転倒であると感じざるを得ませんでした。

 

ある人にとってコーヒー一杯の価格が、ある人の月収

 

このように違和感を感じていた時、Twiterにて以下の投稿を目にして、気付くことがありました。

 

それは、「ある人にとってコーヒー一杯の価格が、ある人の月収」という事実です。

 

ビットコインは、世界中の一人ひとりが、その通貨の信用を支えているもの。
つまり、世界中で使われるグローバルな通貨を目指したものであったはずです。

 

日本にいると、つい今の相場感に慣れて、1,000円くらいの送金手数料を支払ってしまうかもしれません。
しかし、その手数料は、ある国の人にとっては、立派な月収であったりするのです。

たかだか一回分の送金で、一ヶ月分の月収を使えますでしょうか?
答えるまでもありません。

 

このままでは、手数料を支払うことができる経済的に裕福な国の人だけが利用でき、そうでない国では利用できない通貨となってしまいます。
つまり、送金詰まりと手数料の問題は、グローバルな通貨としての機能しない根幹的な理由であり、元来のビットコインとしてのアイデンティティを失っていると感じました。

「手数料の安さ」はビットコインの原点であり、それを支えるための「滞りのない決済」は、ビットコインがビットコインであるために欠かせない条件だと考えるようになりました。

 

相次ぐ分裂に対する不信感と、BCHのロードマップ

 

また、ビットコインの相次ぐ分裂にも、不信感を持ちました。

2017年10月のビットコインゴールドを発端に、ダイヤモンド、プラチナ、ウラン、さらにはビットコインキャッシュを狙い撃ちにしたかのような「ビットコインキャッシュプラス」など。
理念を一切感じないような分裂が、とても多く予定されているのです。

※ビットコインキャッシュの分裂は、ビッグブロックとオフチェーンという理念の違いと理解しています。

 

ビットコインは、バブルと揶揄されるほどの高騰を続けており、投資家からも分裂は「タダで通貨が増える」といった歓迎ムードで受け取られていました。

しかし、冷静に考えれば、そのような無数の分裂は消費者にとって混乱を生むだけで、通貨機能としてのメリットはないと感じます。

 

取引所も対応を迫られ、莫大なシステム改修コストとユーザーの対応に翻弄されてしまいます。

少なくとも、ビットコインを決済手法として検討している立場からして、そのようにいくらでも分裂をしてしまうような通貨には、対応する気が起きません。
なぜなら、分裂のたびにリスクを調査しなければならず、技術面やオペレーション面での対応コストが増えることが容易に想像できるからです。

 

一方で、ビットコインキャッシュが発表したロードマップは極めて明瞭でした。

ビットコインが失ってしまった「少額決済」という機能を取り戻し、あくまで「キャッシュ」として利用できるための開発を行っていくというものです。
来年にも早くもさらなるブロックサイズの拡張の計画があるなど、理念を感じました。

もちろん、ブロックサイズの拡大が正しく機能するかは、分かりません。
しかし、少くとも明確なビジョンの下で分裂ではなく機能改善をしていくスタンスは、仮にうまく行かなくても正しい方向に修正できるような信頼を感じることができました。

 

相場に対する警戒心

 

機能や理念としての話だけではなく、現実的な相場の面でも考慮しました。

 

私は、NewsPicksのWeeklyOchiaiを好んで視聴をしていますが、そこで落合陽一さんが話されていた内容が端的でした。

「同じ価値のものが2つあって、片方だけが異常に高いと変なことが起こりませんか?」

 

同じ金(Gold)が2つあって、片方は20万円で、片方は200万円。
金と銀では、希少性や用途に違いがありますから、価格差があって当然です。

 

しかし、ビットコインとビットコインキャッシュ。
機能面ではほぼ同じか、むしろビットコインキャッシュの方が機能しています。
そして、分裂したもののため、上限発行枚数も同じ。

つまり、希少性も機能も同じなのに、価格差が10倍。
この価格差は、普通ではないと感じました。

 

客観的に見た時、この価格差は時間とともに恐らく狭まっていくと考えました。
もちろん、ビットコインとビットコインキャッシュの両方が伸びていき、ビットコインキャッシュの方が伸び幅が勝って追いつく可能性もあります。
しかし、そうでない場合は、ビットコインの価格は下がります。

つまり、ビットコインには価格が落ちるリスクが少なからずあると警戒をせざるを得ませんでした。

 

反対に、ビットコインキャッシュにはそのリスクが限りなく少ないと感じました。
むしろ、上昇幅が大きいと感じたため、そこに期待をして10%割引という攻めのキャンペーンを行うこともできました。

もし、ビットコインを採用していた場合は、10%割引といった攻めのキャンペーンをすることはできなかったと思います。

 

送金スピードが遅いと、サービスが低下する

 

また、決済としての機能ではなく、弊サービスへの影響も当然考えました。
当然ではありますが、主役は決済ではありません。
目的はお客様へ優れたサービスを提供することであって、そのための「手段」としての仮想通貨であるからです。

サービスとしての形を考えた時、「送金が遅い」ということは、即ち「サービスの低下」、具体的には「お客様の満足度」の低下に繋がるとも考えました。

 

まずは、配送について。
送金が遅いということは、即ち配送タイミングが遅くなるということでもあります。
仮に、お客様が手数料0円で送金をして頂いた場合、着金が確認できるのは数日かかってしまうかもしれません。
それは即ち、商品の配送がその日数だけ遅れてしまうことを意味します。

 

現在では,amazonが当たり前のように即日配送を行っているため、配送のスピードに対する期待値は高いです。
送金詰まりによって決済の確認が遅くなるのであれば、スピード面でもクレジットカードの方が優れてしまいます。

 

また、実際の話ではなく、現実的な問題として。
ビットコインを保有している方々でも、送金手数料と送金スピードの仕組みについて理解されていない方も少なくないと感じています。
むしろ、送金遅延の問題について、把握していない人すらいるとも感じています。

 

もし、お客様が「送金をしました」とお話を頂いても、弊社として確認ができない場合。
それが、何日も経過した場合。

お客様は、「まだですか?」と不満に感じたり、「間違えてしまったかも」と不安に感じてしまいます。
当然ながら、受手である弊社も不安です。

 

このような心理的なストレスがあることは、せっかくのお取引が気持ちのよいものではなくなってしまいます。
つまり、「サービスの質の低下」です。

このような観点からも、送金の遅いサービスの採用は難しく思いました。

 

両方取り扱ってしまうと、煩雑になる

 

とはいえ、現実問題ユーザーが多いのは、ビットコインです。
「ビットコインキャッシュの導入はわかるけど、ビットコインも一緒に導入してもよいのでは?」という問題です。

 

これについては、シンプルです。
お客様にとっての「わかりやすさ」を優先しました。

 

そもそも、仮想通貨でワインを購入したいといった方々は、恐らく全体の1%にも満たないような限られた方々です。
当然ながら、大多数の仮想通貨を使わない方々を、優先的に考えなくてはなりません。

ECサイトでは、決済画面が複雑になるほど、目に見えて購入率は落ちてしまいます。
現在の決済方法が、そもそも「クレジットカード」と「代金引換」の2種類。
これ対して「ビットコインキャッシュ」が加わっただけで、少なからず決済画面は「煩雑」になりました。

ここにさらに「ビットコイン」が加わると、選択肢の50%をほとんどの人が使わない仮想通貨が占めてしまいます。

 

また、ビットコインキャッシュはその将来性から10%キャンペーンを行っていますが、ビットコインでは恐らくできません。
そのような時、一般のお客様には「ビットコイン」と「ビットコインキャッシュ」の違いが分からず、さらに片方は割引があるが、片方は割引がない。

これは、消費者の方にとって分かりづらく、混乱や誤解を生む原因になると感じました。

 

保有者の意識の違い

 

弊社の主事業がWEB解析業であることからも、ソーシャルメディアの投稿分析も行いました。

その結果、ビットコインを保有している方々の多くは、この送金問題に対してとても楽観的な様子が読み取れました。
また、保有者自身が「大口決済用」「デジタルゴールド」といった、「資産」と見なしてビットコインを保有しており、「通貨」として見なしていない様子が分析結果として出ました。

 

反対に、ビットコインキャッシュを保有している方々は、あくまで「通貨」として価値を感じて保有している傾向が読み取れました。

確かに、ユーザー数としてはビットコインの方が圧倒的に多いかもしれません。
しかし、ビットコインを所有している人は「資産」として保有しているのであって、「使う」ために保有しているのではないと感じられました。

このことから、ユーザーはビットコインよりも少ないですが、ビットコインキャッシュの方がご利用頂ける可能性が高いのではとの結論に至りました。

 

終わりに

 

長くなりましたが、以上が弊サービスがビットコインキャッシュを採用した理由です。

もちろん、私は仮想通貨の専門家ではありませんため、理解に誤っている部分もあると思いますし、判断が間違っている可能性もあります。

また、将来は誰にも分かりません。
今後の動向によっては、当然方針を変えることもあるかもしれません。

 

ただ、実際にビットコインキャッシュを選択した人間として、このような背景で選択したことが、少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

 

願うところは、ビットコインが世界共通の通貨として利用される社会です。

今までは、ある程度まとまったお金でないと、世界に送ることは難しい状況でした。

しかし、仮想通貨によって「一杯のコーヒーの金額」が世界中に送り届けられるようになることで、解決できる社会や経済の問題はとても多いと思います。

だからこそ、仮想通貨は世界を前進させてくれる革新的な技術であると期待しているのです。

 

そのような、コーヒー一杯の金額を世界中に送り届けられる通貨としては、現時点としてビットコインでは難しく、ビットコインキャッシュが第一候補であると考えた次第です。

 

最後に、日本が世界でいち早く仮想通貨の社会実装に成功し、この分野で世界をリードしていく未来を願っています。

 

 

 

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